インナーガレージとは?ビルトインガレージとの違いや⇦この文要りますか間取り例を紹介

インナーガレージの導入を検討するにあたって、取り入れるとどのようなメリットがあるのか、どういったポイントに注意すべきなのか、気になる人も多いでしょう。また、どのように活用すれば、日常生活をより快適にできるのかは気になるところです。
この記事では、インナーガレージの基本的な仕組みやメリット・デメリットをはじめ、間取り例や快適に使うための設備について解説しています。さらに、騒音や排気ガス、税金といった気になる問題にどう向き合うべきかも取り上げています。
設計段階で意識すべき動線や将来的な使い方についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
インナーガレージとは
インナーガレージとは、建物の構造に組み込まれた駐車スペースのことです。ビルトインガレージとも呼ばれます。
どちらの呼び方も、居住空間の一部に車を停めるための空間を確保している点で共通しています。呼び方には地域差や設計者の方針が反映されるケースもありますが、厳密な定義の違いはありません。
また、インナーガレージを備えた住宅は「ガレージハウス」と呼ばれることもあります。都市部や狭小地でも取り入れられる場合が多く、建築の自由度と機能性をどちらも重視したい際に適しています。
インナーガレージのメリット
メリットは、以下のとおりです。
- 愛車を風雨や盗難から守れる
- 車の劣化や傷から守れる
- 乗り降りや荷物の出し入れがスムーズにできる
- 多目的なスペースとして活用できる
それぞれのメリットについて解説します。
愛車を風雨や盗難から守れる
シャッター付きのインナーガレージは、防犯性に優れており、外部から侵入されるリスクを抑えられます。とくに、高級車や希少車を所有している場合、車上荒らしや盗難を防ぐための対策は欠かせません。
室内とつながった構造を採用しているため、異変にすぐ気づける点も安心材料のひとつです。また、シャッターを閉めれば車両が外から見えづらくなり、いたずらや無断撮影といったトラブルも防げます。
さらに、センサーライトや監視カメラを併用するのも有効です。さまざまな対策を組み合わせて講じることで、抑止効果もアップします。
風雨からも車をしっかり守れる点もインナーガレージの魅力です。悪天候の日でも濡れずに乗り降りができ、車体が汚れる頻度も減らせます。結果として洗車の手間が減り、車の美観を長く保てるでしょう。
車の劣化や傷から守れる
屋外駐車では風で飛んできたものによる傷や、強い紫外線による塗装の色あせが避けられません。とくに、台風などの自然災害時は、飛来物による窓ガラスの破損といった深刻なダメージも想定されます。
また、紫外線の影響は外装だけでなく、内装の劣化も引き起こします。レザーシートやダッシュボードが傷む原因にもなるため、直射日光を避けられる環境は車を長持ちさせるうえで欠かせません。
インナーガレージを設けることで、このような外的要因から車を保護できます。シャッターがあれば、強風時の飛来物から守ることができます。
乗り降りや荷物の出し入れがスムーズにできる
インナーガレージは、建物と一体化しているため、車までの移動が最短距離で済みます。悪天候の日や冬場の雪の多い地域では、玄関から車へとすぐにアクセスできれば、移動時のストレスが軽減できます。
たとえば、買い物帰りに大量の荷物を抱えていても、外を通らずにガレージから室内へ出入りできる構造であれば荷物も問題なく運べます。小さなお子さまや高齢の家族がいる家庭では、雨に濡れずに車へ乗せられる点も安心につながる要素です。
また、雪国では車の雪下ろしや路面の凍結による転倒リスクを避けられる点もメリットといえます。
多目的なスペースとして活用できる
インナーガレージは、ただの駐車場としてだけではなく、家族のライフスタイルに応じて柔軟に使える空間としても重宝します。たとえば、車がない時間帯にお子さまの遊び場として活用すれば、雨の日でも安心して体を動かせる場所になるでしょう。
また、アウトドア用品やスポーツ道具のメンテナンススペースとして使える点も魅力です。作業台や工具棚を設ければ、DIYや車のカスタマイズを楽しむ空間に早変わりします。シャッターを閉めれば外からの視線を遮れるため、集中して作業に取り組めるでしょう。
リビングに面した大開口の窓を設けておけば、室内からお子さまの様子を見守ることも可能で、安心感も高まります。ほかにも、バーベキューやミニパーティのスペースとしても使えるなど、あらゆる場面で活躍します。
インナーガレージのデメリット
一方で、デメリットは以下のとおりです。
- 居住スペースが狭くなる
- 騒音や排気ガスの問題がある
- 固定資産税が高くなる可能性がある
それぞれのデメリットについて解説します。
居住スペースが狭くなる
インナーガレージを設けると、1階部分にガレージスペースを確保する必要があるため、居住スペースが狭くなる可能性があります。土地面積が限られている場合、リビングや個室の広さに影響を与えるケースもあるでしょう。
敷地にゆとりがない場合、生活空間を確保するために2階や3階建ての設計を検討する必要があります。しかし、階段の上り下りが増えた結果、家事や移動の負担を感じることもあるでしょう。
間取りを考える際は、水回りを一箇所にまとめる、エレベーターの設置スペースを確保するなど、将来を見越した工夫が求められます。
騒音や排気ガスの問題がある
車の出し入れにともなうエンジン音やシャッターの開閉音が室内に響く場合があり、時間帯によっては家族の生活に支障をきたすおそれがあります。早朝や深夜に車を使う機会が多い家庭では、寝室をガレージから離して配置するなどの配慮が必要です。
また、ガレージ内に排気ガスがこもると健康への悪影響も懸念されます。とくに、密閉度の高い構造の場合は換気設備の設置が必須です。排気口や換気扇は、車の排気管付近に設置するとより効率的に空気を入れ替えられます。
騒音や排気の問題は住み心地に影響するため、設計段階での丁寧な計画と対策が求められます。
固定資産税が高くなる可能性がある
インナーガレージの設置面積によっては、固定資産税の負担が増える場合があります。建物全体に占めるガレージの面積が5分の1を超えると、居住部分と同様に課税対象とされるため注意が必要です。
ガレージを広く確保したいと考える場合でも、節税を考慮するのであれば、面積比率を意識して設計を進めるとよいでしょう。土地の広さや家族構成と合わせて、税金面でも無理のない計画を立てる必要があります。
インナーガレージの間取り例
以下の広さ別で間取り例を紹介します。
- 25坪
- 30~35坪
- 40坪
それぞれ見ていきましょう。
25坪
25坪のインナーガレージ付き住宅では、車1台分のガレージスペースと2〜3LDKの間取りを組み合わせた設計が一般的です。水回りやLDKを1階に集約して、個室を2階以上に配置すれば、空間を有効に活用できます。
都市部のように敷地条件が厳しいエリアでは、3階建てにする選択肢もあります。1階をガレージと収納、2階に水回りや個室、3階にリビングやキッチンを設けることで、生活動線を保ちながら明るく開放感のある住まいに仕上げられます。
エレベーターの設置を視野に入れるのであれば、1坪程度のスペースを確保する必要があります。快適な暮らしを実現するには、用途に合わせた間取りの工夫が求められます。
30~35坪
30〜35坪の住宅では車1〜2台分のガレージと、3〜4LDKの間取りが可能です。敷地にある程度の余裕があるため、個室を確保しつつ、広めのLDKや収納スペースも取り入れやすいです。
2階建ての場合は1階にガレージと水回り、2階にLDKや個室を配置するパターンが多く見られます。日当たりやプライバシーを重視するのであれば、2階にリビングを設ける設計もおすすめです。
3階建てにする場合は1階をガレージと収納、2階に寝室や水回り、3階に日当たりのよいLDKを配置する構成もよいでしょう。将来的にエレベーターを取り入れる場合は、あらかじめ設置スペースを用意しておくと対応しやすくなります。
40坪
40坪の住宅であれば、車2台分のガレージを設けてもゆとりある設計にできます。4LDKや5LDKの間取りも実現しやすく、ファミリー層におすすめです。リビングを広く取りたい場合や吹き抜けを設けて開放感を演出するなど、デザイン面でも選択肢が広がります。
2階建ての場合は、ガレージに隣接するキッチンとの動線を短くすると、買い物帰りの荷物の運搬がスムーズになり、時間を短縮できます。
一方、3階建てを検討する場合には、階段やエレベーターの設置にともなうスペースや費用も考慮する必要があります。
最上階にLDKを配置すれば日当たりや眺望にも優れた空間で日常生活を送ることが可能です。敷地に余裕がある郊外では、庭やバルコニーなども取り入れられるでしょう。
インナーガレージにあるとよい設備
設置したほうがよいのは、以下の設備です。
- 水道・排水設備
- 車庫照明
- エアコン・除湿機
- 収納スペース
- コンセント
それぞれの設備について解説します。
水道・排水設備
快適に過ごすためには、水道と排水設備の設置が欠かせません。完備していれば、洗車や趣味の作業で使用した道具をその場で洗えるようになります。シンクを備えれば、ガレージ内での作業後の手洗いや清掃もスムーズに行えます。
近年では、集中豪雨への対策として排水の設計も重視されています。水がたまりづらいよう床に勾配を設けたり、排水口の位置や構造を工夫したりすることで、浸水被害のリスクを抑えられます。
メンテナンスのしやすさも含め、水回りの設計はインナーガレージをより便利に使うために必要です。
車庫照明
インナーガレージは四方を囲まれており、シャッターを閉めると光が入りづらくなるため、照明設備の設置は不可欠です。明るさが不十分だと車の乗り降りや荷物の出し入れに支障が出るだけでなく、ケガや事故の原因にもなりかねません。
また、ガレージ内で車のメンテナンスやDIYを行う場合には、天井照明だけでなく、作業灯など手元を照らす補助照明があると便利です。照度や光の向きに配慮して、照明計画を立てましょう。
エアコン・除湿機
インナーガレージで快適に過ごすためには、空調設備の導入も検討すべきポイントです。とくに夏場や冬場に作業や趣味の時間を楽しむには、エアコンがあると便利です。
実際、内部は断熱性の高い構造であることから熱がこもりやすいです。季節によっては、ガレージ内の温度が大きく上昇したり低下したりする場合も考えられます。
湿気対策として、除湿機の導入も効果的です。密閉された空間は湿気がたまりやすく、放置すると車両の金属部分が錆びたり、保管している工具や物品がカビたりする原因となります。
収納スペース
十分な収納スペースの確保も欠かせません。壁面収納や可動棚を設ければ、工具類やカー用品、アウトドアグッズをすっきりと整理できます。作業スペースを兼ねる場合には、用途別に分けて収納できる工夫も有効です。
また、室内に持ち込みづらい大きめのアイテムや汚れやすい道具をガレージ内に保管できれば、生活空間を清潔に保てます。自転車や遊具、季節のレジャー用品などを屋外物置代わりに収納することも可能です。
インナーガレージで後悔しないために
後悔しないためにも、以下6つのポイントには注意しなければなりません。
- 事前に動線計画を練る
- 将来的な買い替えを考慮する
- 用途や予算を考慮してシャッターを決める
- 騒音対策をする
- 排気ガス対策をする
- 地震対策をする
それぞれのポイントについて解説します。
事前に動線計画を練る
インナーガレージの快適さは、設計段階の動線計画で左右されます。車を停めたあとに家のどこへ向かうのか、日々の生活動線をできるだけ具体的にイメージしておくことが重要です。
たとえば、車を降りてすぐに室内へ入れる配置にすれば、雨の日であっても濡れずに移動できます。玄関を通らずに荷物を運び込める動線を採用すれば、買い物後の負担を減らすことが可能です。
パントリーやキッチンへと直結する動線を設ければ、食材の持ち運びもスムーズです。作業スペースとしても使いたいのであれば、工具置き場との動線や照明設備の完備も意識すべきポイントです。
なお、建具には開閉がしやすく、省スペースな引き戸を採用すると大きな荷物の搬入時も楽になります。インナーガレージは後から増築が難しいため、当初から将来の使い方も含めた設計が求められます。
仮に、すぐに取り入れられない場合であっても、増築を考慮に入れた構造であれば将来的にリフォームがしやすくなるでしょう。
将来的な買い替えを考慮する
インナーガレージを設ける際は、現在の車だけでなく、将来の買い替えも視野に入れてサイズを検討する必要があります。車体のサイズが大きくなると、ガレージ内に収まらなくなるおそれがあるため、余裕を持った設計が求められます。
また、乗り降りのしやすさにも注意が必要です。ガレージの幅やドアの開閉スペースが足りないと、日常的にストレスを感じる原因になりかねません。将来、車を2台所有する可能性がある場合は、台数の増加も見越して間取りを検討すると安心です。
一度つくったガレージを拡張するには、大規模な工事が必要になるケースも多く、その分コストも膨らみます。車種やライフスタイルの変化に対応できるよう、柔軟性のある設計を心がけましょう。車のサイズや使い方に合った空間設計が、長く快適に暮らすためには欠かせません。
用途や予算を考慮してシャッターを決める
シャッターの有無や仕様は、インナーガレージの使い方や予算に合わせて慎重に決めなければなりません。防犯性やプライバシー確保の観点では、シャッターを設けたほうが安心です。しかし、その分だけ建築コストが高くなる点には注意しましょう。
とくに、電動式シャッターは開閉がスムーズで利便性が高い反面、設置や維持に費用がかかりがちです。一方で、シャッターを設けずオープンタイプにすれば、初期コストは抑えられます。ただし、車両の防犯面や風雨からの保護にはやや不安が残る可能性があります。
また、ガレージの用途が車の保管だけでなく、作業や趣味のスペースとしても使うのであれば、シャッターによる目隠し効果や防音性も期待できます。このように、用途やライフスタイルに合わせて、シャッターの必要性やタイプを検討することが大切です。
見積もり時に複数のパターンを比較し、費用対効果のバランスを取るようにしましょう。
騒音対策をする
インナーガレージは便利で役立つ場面が多いですが、騒音の問題を無視することはできません。住宅と一体になっている構造上、車のエンジン音やシャッターの開閉音が室内に響きやすくなります。
とくに、早朝や深夜に車を使用する家庭では、騒音が家族の生活リズムに影響を与えることもあるでしょう。そのため、住宅を設計する段階で騒音対策を講じることがポイントです。
たとえば、静音性の高いシャッターの採用や防音性に優れた建材の使用などが有効です。また、寝室や書斎など静けさが求められる空間は、ガレージからなるべく離れた場所に配置すれば、ストレスなく快適に利用できます。
また、ガレージの壁に吸音材を入れるのも効果的です。吸音材が入っていれば、音の反響を抑えられます。
こうした小さな工夫であっても、積み重ねれば十分な防音効果を生むため、建築士や設計担当者と相談しながら、生活に配慮した配置や設備を選びましょう。
排気ガス対策をする
インナーガレージはシャッターを閉めると密閉空間になりやすく、排気ガスのこもりに注意が必要です。車のアイドリング時やエンジン始動時に発生するガスが室内に滞留すると、健康への悪影響や不快なにおいの原因になります。
排気ガス対策としてとくに効果的なのが、換気設備の導入です。換気扇は排気口から離れた位置に設置すると、効率よく空気を入れ替えられます。
そのため、排気ガスを屋外へとうまく排出できるようになるでしょう。さらに、排気管の位置に合わせた専用タイプの換気装置を選べば、より高い効果が期待できます。
窓や通気口の設置も有効な対策ですが、開けたままだと防犯面で不安が残るため、換気扇と併用するのが無難です。空気の循環をきちんと確保することが、清潔で安心なインナーガレージを維持するうえで重要です。
地震対策をする
インナーガレージを1階部分に設ける場合、壁や柱が少なくなりやすい構造となるため、耐震性には注意が必要です。とくに、大きな開口部を設けると、建物全体のバランスに影響を及ぼし、強い揺れに対してひ弱になる可能性があります。
そのため、デザインや機能面だけでなく、構造上の安全性を考慮した設計が欠かせません。正確な構造計算に基づいた耐震設計を行っている施工会社を選び、必要に応じて補強材の導入や構造を見直しましょう。
こうした取り組みをすることで、建築コストが多少上がるかもしれませんが、生活の安全を守るためには優先すべきポイントです。
ガレージの開口部と耐力壁のバランス、基礎構造の強化など、複数の視点から安全性を確保しましょう。いずれも、長く快適に暮らすためには不可欠といえます。
まとめ
インナーガレージは、車を守りつつ快適な生活動線を確保できる便利なスペースです。風雨や紫外線、盗難リスクから車を守るだけでなく、乗り降りや荷物の運搬もしやすくなります。収納や趣味の作業スペースとしても応用でき、使い方の幅が広い点も魅力です。
一方で、生活空間が狭くなるほか、排気ガスや騒音といった課題が生じる場合もあります。設計段階から動線や換気、防音といった要素を検討することが大切です。
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