住宅高騰の原因は何?住宅を購入するメリットを紹介
近年は住宅の価格が高騰しており、その影響で新しく家を買うことに対して、二の足を踏んでいる方も少なくありません。住宅の価格は、なぜ上昇を続けているのでしょうか。住宅価格が上昇している理由は複数あり、それぞれに複雑な背景が存在しています。
そこで、今回は住宅高騰の原因を中心に、価格が上昇するタイミングや落ち着くタイミングについて解説しましょう。また、低予算で家を建てるポイントや住宅の購入前に済ませておくべき準備なども紹介するため、これから新しく家を建てる予定がある方は、ぜひ参考にしてください。
住宅高騰の原因
住宅価格は都内を中心に続いており、2024年も価格が上がると予想されています。住宅高騰が発生し続けている、具体的な要因を順番にチェックしていきましょう。
低金利
住宅価格が高騰している原因として、低金利が挙げられます。金利とは住宅ローンをはじめとする、借りたお金に対してどれくらいの割合で利息が発生するかを表したものです。
金利が上がると返済額が増えるため、住宅の購入者たちは住宅ローンが利用しづらくなります。そのため、不動産サイドは買い控えの対策として、住宅価格を下げて対応しなければなりません。
しかし、低金利状態なら返済額は大きくならないため、住宅ローンを利用しやすいです。とくに変動金利に関しては、金融機関の間での顧客獲得競争の影響も重なり、超低金利状態が続きました。その結果、住宅購入の需要が高まり、住宅価格も一緒に上昇しています。
建築費上昇
建築費の上昇も、住宅高騰の原因のひとつです。建築資材が高騰した主な理由として、ウッドショックが挙げられます。
ウッドショックとは、読んで字のごとく木材が高騰、不足し、木造住宅の建築やリフォームに影響を与えている問題のことです。近年は気候変動の影響もあり、林木の育成が不安定化しています。また、 2020年以降コロナウイルスのパンデミックによるリモートワークの普及によって、郊外に家を建てる方が国内外で増えました。
建築需要の急増、森林資源の減少が合わさった結果、建築費が高騰してしまい、住宅価格も上がっています。
円安の影響
住宅の価格が高騰している理由として、円安の影響も挙げられます 2020年頃に103円前を推移していたドル円相場ですが、 2022年10月には150円まで上昇しました。
円安になると一般的に輸出が増加して景気がよくなり、インフレが起きやすくなるといわれています。しかし、円の価値が下がるため、輸入した海外製品の値段が上がってしまいます。
現在日本は、石油をはじめとするさまざまな資源を輸入に頼っています。建築現場で使用される木材の 7割も海外から輸入されたものです。建材にかかるコストが上がった結果、住宅価格も一緒に上昇しました。
コロナウイルスの流行
2020年以降、国内外で猛威を振るったコロナウイルスも、住宅高騰の原因のひとつです。パンデミック初期は先行きがまったく見えない状況のため、不動産市況も落ち込んでしまいました。
しかし、コロナによってリモートワークが一般化すると、徐々に住まいに対する考え方が変化します。パンデミック以前は、職場に近い住宅の人気が高かったのですが、通勤する頻度が減少し、距離が離れていても生活インフラが整っている地域へ新たに居住地を移す方が急増しました。結果、不動産市場は活発化し、バブル期の勢いを超えるほど不動産価格が上昇しています。
ロシアのウクライナ侵攻
2022年2月 に始まったロシアによるウクライナ侵攻も、住宅高騰の原因です。日本は住宅の建材として使用する木材の 7割 を輸入に頼っている点はすでに解説しましたが、木材の輸入先にはロシアの名前も含まれていました。
ロシア産の木材は安価で、かつ使い勝手も良い素材として知られています。しかし、ウクライナ侵攻以降は日本政府がロシアに対して制裁措置を発動した結果、ロシア産の木材は輸入されなくなりました。
結果、建築業界では輸入材の価格が高騰して、住宅価格も高騰しています。
住宅高騰が落ち着くタイミングは?
さまざまな要因が複雑に絡まった結果、住宅の価格は高騰しました。もちろん、このまま住宅価格の高騰が続くとは限りません。将来的には、以下のようなタイミングで住宅価格は落ち着くと考えられています。
人口の減少
日本をはじめ、各国で深刻な社会問題となっている人口の減少ですが、住宅の価格と深い関わりがあります。日本では 2008年 をピークに人口が減り続けており、当時 世界10位 だった人口も2023年には12位に転落しました。
人口と住宅価格の関係ですが、人口が減ると、まず空き家をはじめとする中古物件が増えます。人口の低下によって住宅の需要も下がることが予想されますが、市場に流通する中古物件が増えると住宅供給数が総世帯数を上回ってしまい、さらに住宅価格が下落する可能性が高いです。
そのため、今後は過疎化が進んでいる地方を中心に、不動産価格は全体的に落ち込んで行くと予想されています。
ものやサービスの価格が全体的に継続して下落する
ものやサービスの価格が下がると、住宅価格も連動して下落する可能性が高いです。全体的な物価が下がる現象を、経済用語でデフレ、またはデフレーションと呼びます。物価が下がるのは消費者にとってよいことだと思われがちですが、基本的にデフレが発生するのは経済活動が停滞しているときです。
物価の低下が続くと、企業の収益が減り賃金も上がりません。そのため、消費者は支出を減らし、企業の収益はさらに悪化します。この悪循環はデフレスパイラルと呼ばれ、長期的な経済の停滞の前触れとなるケースがほとんどです。
収益が下がると、企業はどうにかしてものを売るために商品やサービスを安く提供しようと考えるため、住宅価格も連動して下落します。
株価が上限に達する
株価が上限に達した際も、住宅価格が落ち着くタイミングのひとつです。住宅価格は株価と緩やかに連動しており、株価が一度上限に達し下落すると経済全体の信頼感もまとめて低下し、投資家たちのリスク回避意識が高まります。結果、不動産を含む資産投資に対する消極的な姿勢も強まるため、不動産価格が下落する可能性が高いです。
また、住宅が戸建てかマンションかによって、株価の影響度合いは異なります。マンションの場合は、住居以外にも投資対象として扱われるケースが多いです。そのため、株価が上昇すれば値段が上がり、株価が下落すれば値段は下がります。
戸建て住宅は、個別の物件です。価格は地域の需要と供給バランス、物件の条件などによって形成されるのが一般的のため、マンションほど株価の影響を強く受けません。
人間の心理
不動産も投資のひとつですが、投資には人間の心理が関係しています。伝統的な経済学の理論において、人間の経済的な判断や決定は当事者に最大の利益をもたらすように下されると定義されてきました。
しかし、実際に投資をはじめとする経済上の選択に迫られた場合に、非合理で利益を損なうような判断や決定を下してしまう方が多いです。そして、価格が下落する原因は何であっても、一度価格が下がり始めると「損をしたくない」という人間の心理が暴落に拍車をかけます。
住宅価格も同じように、ちょっとしたきっかけで価格が下がると、そのまま暴落を続ける可能性が高いです。
住宅高騰中の住宅購入はあり?
近年は、住宅高騰が続いているため、新しく住宅を購入してよいのか悩んでいる方も多いでしょう。しかし、価格が上がっている状態でも新築を買う選択肢はありです。以下、住宅高騰中の住宅購入が適切な理由の一覧になります。
家賃がかかるから
住宅高騰中でも新しく家を購入するのが適切な理由として、家賃の問題が挙げられます。新しく家を購入する方の多くは、現在賃貸に住んでいる方でしょう。新しく家が完成するまでは、賃貸に住み続けることになります。
たとえば、住宅価格が下がるのを待つために、5年間賃貸に暮らすとしましょう。家賃が7万円の場合は、5年間で420万円かかり、これは近年高騰した建築費とほとんど同じ金額です。
しかし、5年間で住宅価格が下がる保証はありません。長い間待ち続けた結果、本来家の購入資金に回せたかもしれないお金を無駄にするリスクを考慮すると、住宅高騰が続いている現在でも家を購入する価値はあるといえます。
金利の上昇
住宅の価格が上がっていても、今のうちに新築を購入した方がよい理由として、金利の上昇リスクも挙げられます。日本は現在歴史的な低金利が続いていますが、アメリカをはじめとする外国との金利差が開きすぎると円安が進んでしまうため、低金利政策が近いうちに終了する可能性が高いです。事実、2024年3月19日に日銀は金融政策決定会合においてマイナス金利政策を解除し、金利を引き上げることを決めました。
住宅ローンの返済金額にもよりますが、1%金利が上昇するだけで返済額は数百万円変わる場合もあります。そのため、現在の低い金利が適用されている間に新しい家を購入するのは、長い目でみればお得といえるでしょう。
団体信用生命保険に入れる
住宅ローンを組めば、団体信用生命保険に加入できます。団体信用生命保険とは、住宅ローン返済中に契約者が死亡、または高度障害を負った場合は、住宅ローン残高がゼロになる保険のことです。団信に加入していれば、契約者の身に万が一の事態が発生しても、その家族は住宅ローンの残債返済の心配をせず、引き続き家に住み続けられます。
しかし、団体信用生命保険に加入するためには、健康状態や持病の有無などの審査を通過しなければなりません。過去に病歴がある場合は、住宅ローンを組むこと自体が出来なくなる可能性も否定できません。年齢を重ねるごとに病気のリスクが高まることを考えると、早い段階で住宅を購入するのは合理的な選択ともいえます。
低コストで家を建てるコツ5選
住宅の価格が高騰しているタイミングでも家を建てても問題はありません。しかし、やはり費用が気になる方もいるでしょう。その場合は、家の建築コストを抑える工夫をしましょう。
今回は、低コストで家を建てるコツを5つ紹介します。
エリアを広げて安い土地を探す
低コストで家を建てたい場合は、土地を安く購入できるエリアを探しましょう。土地の値段は、都道府県によって異なります。
東京都の場合は 23区全域で1平方メートルあたり60万100円、東京都全域で1平方メートル37万8,100円となっています。ちなみに、都心5区と呼ばれる千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の平均は1平方メートルあたり141万2,700円と群を抜いています。
岡山県では県全体で1平方メートルあたりの相場は約15万円です。場所によっては低予算でも十分立派な家が建てられるお買い得な土地が見つかるため、積極的に土地を探す範囲を広げましょう。
土地や床面積を小さくする
購入する土地や床面積を小さくするのも、予算を抑えるのに有効な方法です。購入する土地が小さければ、同じ坪単価のエリアでも価格を抑えて購入でき、土地にかかる各種税金も抑えられます。また、狭い土地は都市部に多く集まっているため、利便性が高い点もメリットです。
理想の家を実現するためには、大きな土地が必要と考える方もいます。しかし、実際に生活してみると広い部屋を持て余してしまったというケースもあります。過剰に広い土地ではなく、自分や家族が暮らすにあたって最適な広さの土地を選択しましょう。
建築費の安いハウスメーカーに依頼する
低コストで家を建てたい場合は、建築費の安いハウスメーカーに依頼しましょう。ハウスメーカーによっては、値段の安さを売りにしているローコスト住宅もあります。
値段の安さに不信感を抱く方もいるでしょう。しかし、材料を一括で仕入れている、規格化によって人件費を抑えているなど、ローコストを実現できている理由は基本的に真っ当なものばかりのため、安心できます。また、値段が安くても建売ではないため、ある程度自分の希望を反映できる点も嬉しいポイントです。
ハウスメーカーを探す際は複数社に見積もりを依頼し、値段やサービスを比較すれば、よりお得な価格で住宅を購入できるでしょう。
建築計画の見直しをする
低コストで住宅を建てたい際は、建築計画自体の見直しも検討しましょう。初めて建てる家は、できる限り自分の理想を叶えたいと考える方は少なくありません。
希望条件を詰め込みすぎた結果、予算を大きく上回ってしまうケースがあります。その場合は家のデザインをシンプルにする、使用する建築素材のランクを下げるなどして、建築コストを下げましょう。
しかし、住宅性能や防犯設備など、予算をかけたい部分もあるため、計画の見直しは自分だけでなく、依頼するハウスメーカーの担当者や建築士を交えて行いましょう。
補助金を使う
家を建てる際は、補助金も上手に利用しましょう。近年は、移住者を増やすために住宅補助金制度に力を注いでいる都道府県や市区町村が増えています。
たとえば、岡山県倉敷市の場合は、国および県の専門人材に関する事業により就業した方、テレワークにより倉敷市に移住した方など、既定の条件を満たすことで移住支援金の受け取りが可能です。交付される支援金の金額は、単身世帯が 60万円、2人以上の世帯が100万円に設定されています。
全国で利用できる補助金制度もあるため、予算に不安を抱えている場合は一度調べてみましょう。
家の価格が上昇する時期
家の価格は景気の動向や金利の変動、災害の発生などに影響されるため、突然価格が変わるケースも少なくありません。これらの条件は基本的に予測が困難ですが、時期によってある程度住宅価格が上がるタイミングを予測できます。
まず、進学や就職などで新生活が始まるタイミングのため、4月は住宅の価格が上がりやすいです。引っ越し業者も忙しくなるタイミングのため、全体的にコストが上昇します。
12月も固定資産税が決定する1月になる前の駆け込み時期のため、住宅の購入価格が上昇する時期です。そのため、予算に余裕がない場合は4月と12月 に住宅を購入するのは避けましょう。
ちなみに、一番住宅価格が下がる時期は8月です。8月は夏の暑さが厳しく、たったひとつの物件の内覧をするだけでも大きく体力を消耗してしまいます。売れ残り物件は価格が下がりやすく、かつ値下げ交渉もしやすいです。
もちろん、最終的に住宅を購入するタイミングを決めるのは購入者本人のため、この時期は避けるべきということはありません。仕事やプライベートのスケジュールに合わせて、購入時期を柔軟に決定しましょう。
住宅の購入前に準備すること
最後に、住宅の購入をする前にしておきたい準備について解説します。どのような準備が必要になるのか、順番にチェックしていきましょう。
断熱性能など住宅の性能について調べる
住宅を購入する前に、断熱性能など住宅の性能について調べておきましょう。近年は、さまざまな高性能住宅が多数登場しており、断熱性が高く夏や冬でも快適に過ごせる住宅もあれば、耐震性が高くより大きな地震に耐えられる住宅もあります。住宅の性能や設備は、ハウスメーカーや工務店によって得意分野が異なるため、知識がないと適切な会社選びができないでしょう。
どのような家を建てるか相談する際も、住宅の性能に関する話題は必ず登場します。担当者が都度説明はしてくれるでしょうが、話し合いをスムーズに進めるためにも、必ず最低限の勉強はしておきましょう。
理想の家を考えておく
新しく家を建てるにあたって、事前に具体的なイメージを固めておきましょう。あらかじめ理想の家の条件を考えておくことで、家に対するこだわりを具体化し、条件の優先順位をつけやすくなります。
理想の家を考える際は、最初にコンセプトを決めておきましょう。コンセプトを決めておけば統一感のある家づくりができるだけでなく、迷ったときの指標にもなります。
家のコンセプトは、掃除のしやすい家や子どもが安全に遊べる家など、多種多様です。コンセプト決めに悩んでいる場合は、どのような生活を実現したいか、そのためにはどうすればよいか考えるところから始めましょう。
住宅展示場に行く
理想の家のイメージが浮かばない場合は、住宅展示場に足を運んでみましょう。住宅展示場には、さまざまなハウスメーカーや工務店が建てたモデルハウスがあり、自由に見学が可能です。
また、住宅展示場には各ハウスメーカーや工務店の営業担当者が駐在しています。直接家のコンセプトやデザイン、性能に関する話を聞けば、具体的な家のイメージを考える助けになるでしょう。
住宅展示場の見学をする際は、基本的に予約の必要はないです。しかし、住宅展示場で開催されているイベントのなかには、先着順のものもあります。参加したいイベントがある場合は、予約をしておきましょう。
ハウスメーカーに問い合わせしてみる
理想の家のイメージが固まったら、気になるハウスメーカーに問い合わせましょう。ハウスメーカーによって得意分野が異なるため、複数の会社をチェックしてください。
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こちらの記事では、住宅購入のタイミングについて解説しています。購入の基準や購入前にするべきことも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
今回は、住宅高騰の原因や住宅を購入するメリットなどについて取り上げてきました。住宅の価格が上昇している理由は複数あり、将来的に価格が上がるのか、または下がるのか確実なことはいえません。
しかし、住宅の建築コストを抑える方法もあれば、補助金を利用することもできます。そのため、極端に予算の心配をせずに、基本的には自分が必要だと感じたタイミングで住宅を購入することがおすすめです。
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