固定資産税はいくらになる?一戸建ての場合の計算方法や軽減措置を解説!
一戸建てを建てようと考えているものの、固定資産税がいくらになるのか、不安に感じる方も多いでしょう。建築する前にどの程度の金額がかかるのかを把握できれば、余裕を持って支払いに備えられます。
そこでこの記事では、一戸建てにかかる固定資産税の平均額や計算方法などをわかりやすく解説しています。固定資産税の計算シミュレーションも行っていますので、固定資産税の具体的な金額をイメージするために、ぜひ本記事を役立ててください。
目次
固定資産税はいくらになる?一戸建ての場合
まずは、固定資産税がいくらになるのかを考えてみましょう。住宅(土地付き注文住宅・建売住宅・中古戸建)の取得費用は、おおよそ2,000万円〜4,500万円です。取得費用に基づいて計算すると、一戸と考えられます。
しかし、具体的な金額は物件の評価額や地域によって異なります。自分の場合は、どのケースに当てはまるのかを確認することが大切です。
固定資産税とは
固定資産税は地方税の一種であり、固定資産税は、土地や家、事業用の機械や備品などの資産にかかる税金です。固定資産税は、資産を所有する人が資産価値に基づいて算出される税額を支払う形で徴収されます。具体的には、住宅地や畑、店舗や工場などの建物、事業者が所有する機械や備品などが課税対象です。
固定資産税は、道路や学校、公園などの公共施設の整備や地域のサービス向上に使われます。つまり、固定資産税は地域の発展や住民サービスの維持に役立つ重要な財源となっています。
一戸建ての固定資産税の平均額
一戸建て住宅の固定資産税は、地域や物件の特性、土地や建物の評価額によって左右されます。固定資産税の税率は標準で1.4%と定められていますが、自治体によって若干の差があるため注意が必要です。
また、物件の築年数や建築資材によっても税額が変動します。固定資産の評価は3年ごとに見直されるため、市況や物件の状態によって税額が増減します。
固定資産税が課税されないケース
所有する土地、家屋、および償却資産の各課税の標準額が一定の免税点を下回る場合は、固定資産税は課されません。具体的には、土地の場合は30万円未満、家屋であれば20万円未満、償却資産に関しては150万円未満の場合、固定資産税の対象外となります。
このような制度は、とくに小規模な資産所有者に対して税負担の軽減を図る目的で設けられています。住所変更などで納税通知書が届かない場合は、税務課への連絡が必要です。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法は、土地と建物ごとに異なります。しかし、計算における考え方は同様で、簡単に説明すると土地・建物の評価額に1.4%を乗じた数値 です。ここからは、それぞれの具体的な計算方法について解説します。
土地にかかる固定資産税の計算方法
土地に関する固定資産税は、土地の評価額にあたる課税標準額に、所定の税率を乗じることで税額を計算します。一般に適用される税率は1.4 で、土地の評価額は自治体によって設定される路線価をもとに決定されます。しかし、通常は市場価格の70%程度に 設定されることが一般的です。
たとえば、市場価格が3,000万円の土地であれば、評価額は3,000万円 に70%を乗じて、2,100万円です。また、2,100万円に税率1.4%を乗じることで、固定資産税が求められ、計算すると29万4,000円となります。
土地の固定資産税の評価額を確認する方法は、いくつかあります。まず、自治体から送られてくる固定資産税の納税通知書には、土地の評価額が詳細に書かれた課税明細書が添付されています。その他にも、自治体の役所や都税事務所で閲覧できる固定資産課税台帳を見ることができます。
また、役所で取得できる固定資産評価証明書を利用して確認することもできます。これらの書類を使って、自分の土地の固定資産税の評価額を確認してみましょう。
建物にかかる固定資産税の計算方法
建物の固定資産税も同様に、固定資産税の評価額に税率を乗じて計算します。評価額は、新築時の建設費を基にしており、経年による価値の減少を考慮した経年減点補正率を適用して算出されます。具体的には、建物が新築の場合は、建築費の 約60%が評価基準とされている場合が多いです。
たとえば、建築費が2,000万円の建物では、2,000万円の60%で評価額は1,200万円となり、標準税率である1.4%を適用すると、固定資産税は16万8,000円になります。固定資産の評価は3年ごとに見直されるため、建物の固定資産税額も変動する可能性があります。
固定資産税評価額の決定方法
固定資産税評価額を決定する際は、特定の調査が必要になります。そこで、ここからは調査について解説します。新築住宅における調査はもちろん、中古住宅の固定資産税評価額の調べ方もあわせて説明しますので、参考にしてください。
新築住宅の固定資産税評価額を決めるには調査が必要
新築住宅の固定資産税評価額を定める際には、住宅の具体的な状況を把握するための家屋調査が不可欠です。家屋調査では、使用されている建材や設備の種類、構造、用途を詳細に検証し、再建築時の費用を算出します。評価額の算定には、再建築費に基づく評点数に加え、物件の経過年数に応じた減価率や地域特性に基づく物価水準、設計管理費などが考慮されます。
調査は通常、新築や増築から1~3か月以内に行われ、所有者の立ち会いが求められます。立ち会いは拒否できますが、資料のみに基づいて評価されることになり、結果的に評価額が高く設定されるリスクがあるため注意が必要です。もし評価額に納得がいかなければ、納税通知書の受領から3か月以内に限り、市町村への再調査依頼が可能です。
中古住宅の固定資産税評価額を調べる方法
中古住宅の購入を検討する際は、予想される固定資産税の額を事前に把握することは重要です。将来の資金計画を立てやすくなり、物件の購入判断にも役立ちます。
中古住宅の固定資産税評価額を知るには、いくつかの方法があります。簡単なのは、物件の現所有者または不動産会社から、直近の固定資産税の納税通知書を見せてもらう方法です。納税通知書には、物件の評価額とその年度に支払うべき税額が記載されています。
また、市町村役場の固定資産税課や、地域によってはオンラインで提供されている情報を通じて、評価額を確認することも可能です。しかし、物件の状態や市場価値の変動によって評価額は変わるため、最新情報を得るようにしましょう。
すでに中古住宅を購入している場合
中古住宅を所有し、居住している方は、毎年届く固定資産税の課税明細書を確認することで、自身の物件にかかる固定資産税を把握できます。明細書には、所有する土地や建物の評価額が記載されており、評価額に基づいた課税標準額が算出されています。
記載されている課税標準額に、地方自治体によって定められた固定資産税の税率を乗じることで、該当年の固定資産税の金額を求めることが可能です。
これから中古住宅を購入する場合
中古住宅を購入予定の方は、直接土地や建物の固定資産税評価額を把握することが難しい場合が多いです。その場合は購入を検討している物件に関して、仲介する不動産業者に固定資産税評価額や実際にかかる固定資産税額の確認を依頼することをおすすめします。
不動産業者は、物件の現所有者に連絡を取り、必要な情報を収集してくれる可能性があります。予定される納税額は物件購入時の重要な判断材料となり、将来にわたる資金計画を立てるうえでの助けになるでしょう。
購入前に納税額を確認することで、予期せぬ負担を避け、安心して物件を購入することが可能になります。
一戸建ての固定資産税のシミュレーション
ここからは、一戸建てにかかる固定資産税のシミュレーションを行います。建物の価格を1,000万円、土地の価格を2,000万円として、新築の一戸建てと中古の築5年、築10年、築15年の場合の固定資産税がいくらになるのかをそれぞれ理解しましょう。
自分の状況に近いものを参考にすることで、実際の税金額をある程度把握できます。
3,000万円の新築一戸建てを購入した場合
3,000万円で新築一戸建てを購入した場合の固定資産税を見積もってみましょう。建物の評価額は購入価格の60%で600万円、土地は70%で1,400万円とします。建物には1/2、土地には1/6の軽減措置を適用し、建物の評価額は300万円、土地は約233万円になります。
求めた評価額に標準税率1.4%を乗じると、建物で4万2,000円、土地で約3万2,000円です。合計額が年間の固定資産税で、その額は約7万4,000円となります。
3,000万円で中古の一戸建てを購入した場合
同様に、中古一戸建てを3,000万円で購入した場合の固定資産税も計算してみましょう。中古の場合は、建築されてから何年経ったかによって、建物の評価額が異なります。
さらに、今回は面積も考慮に入れてみましょう。条件として、建物面積を120㎡、土地面積を250㎡とします。
ここからは、上記の条件をもとに木造住宅の築5年から、築10年、築15年の場合までをシミュレーションします。
築5年の場合
築5年中古一戸建ての固定資産税の計算において、建物の評価額は築年数に基づく経年減価補正率を適用します。築5年の場合は0.64に設定されているため、建物の評価額600万円に0.64を乗じて、384万円です。
一方、土地は購入価格の70%である1,400万円を基に、軽減税率を考慮して評価額が算出されます。250㎡なので、200㎡までは全体の4/5に1/6を、200㎡を超える部分には1/5に1/3を乗じて、合わせた約279万円が土地の評価額となります。
上記の評価額に1.4%の税率を適用すると、建物には約5万4,000円、土地には約3万9,000円の固定資産税が発生し、合計で年間約9万3,000円の税金がかかる計算になります。
築10年の場合
築10年の中古一戸建てを購入する場合、建物の経年減価補正率は0.50です。そのため、建築価格1,000万円に0.5と0.6を乗じた、300万円が建物の固定資産税評価額となります。
一方、土地は購入価格2,000万円の70%、1,400万円が評価額です。そして、250㎡の土地面積に応じた軽減措置を適用すると、土地の評価額は約279万円になります。具体的な内訳は、200㎡までが約186万円、超えた部分が約93万円です。
上記の評価額に1.4%の税率を適用すると、建物に対しては約4万2,000円、土地に対しては約3万9,000円の固定資産税が発生し、年間で合計約8万1,000円の固定資産税がかかることになります。
築15年の場合
築15年の中古一戸建てを購入した場合、建築価格1,000万円の60%に、建物の経年減価補正率を0.37に乗じて、建物の固定資産税評価額は222万円です。土地の評価額は購入価格2,000万円の70%である1,400万円に、土地面積250平方メートルに応じた軽減措置を適用することで約279万円となります。
上記の評価額に1.4%の税率を適用すると、建物には約3万1,000円、土地には約3万9,000円の固定資産税がかかることがわかるでしょう。合計すると、約7万円の固定資産税を年間で支払うことになります。
一戸建てにかかる固定資産税の軽減措置
シミュレーションでは詳細に触れていませんでしたが、一戸建てにかかる固定資産税には軽減措置があります。具体的にどのような状態のときに軽減措置が適用されるのかを理解したうえで、建築する住宅の大きさを考えるとよいでしょう。
ここからは、土地と新築物件にかかる固定資産税の軽減措置について解説します。
土地にかかる固定資産税の軽減措置
一戸建ての土地に関する固定資産税の軽減措置は、土地の面積に基づいて異なります。具体的には、200㎡以下の小規模住宅用地は、評価額の1/6が課税標準額です。
一方、 200㎡を超える一般住宅用地部分については、評価額の1/3が課税標準額となります。たとえば、250㎡の土地を持つ住宅の場合、200㎡までの部分は評価額の1/6、残り50㎡は1/3が適用されることになります。
ただし、軽減措置を受けるためには、 翌年の1月31日までに「固定資産税の住宅用地等申告書」の提出が必要です。自動適用されるわけではないため、適用を希望する場合は積極的に手続きを進める必要があることは、あらかじめ理解しておきましょう。
新築物件に適用される固定資産税の軽減措置
新築住宅に適用される固定資産税の軽減措置は新築から3年間、評価額の半分が軽減されるというものです。軽減措置を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 2024年3月31日までに認定を受け、新築された住宅
- 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
- 併用住宅の場合は居住部分が半分以上であること
さらに、長期優良住宅は、軽減期間が5年間に延長されます。ただし、土砂災害特別警戒区域内の物件は対象外です。
また、軽減措置を受けるには申請が必要です。一部地域では申請不要の場合もありますが、長期優良住宅に関しては申請が必須であるため、注意しましょう。申請期限は新築翌年の1月31日までで、期限を過ぎると軽減措置が受けられなくなるため、早めに手続きすることをおすすめします。
固定資産税を納付する方法とタイミング
ここからは、固定資産税を納付する方法と、納付のタイミングについて解説します。納付方法は大きく分けて振込用紙を利用する方法と、口座振替を利用する方法があります。納付のタイミングは、自治体ごとに異なりますが、タイミングは年4回あることを理解しておきましょう。
固定資産税の納付方法
固定資産税の納付には複数の方法があるため、支払いやすい方法を選択するとよいでしょう。一般的な方法としては、納税通知書に同封される振込用紙を使用し、金融機関や郵便局、指定されたコンビニエンスストアで支払う方法があります。
また、口座振替を利用することも可能です。口座振替の場合、納付期日に自動的に引き落とされるため、支払い忘れのリスクを避けられます。一度手続きを行えば、以後の納付が楽になるため、多くの納税者にとって便利な選択肢だといえるでしょう。
支払いは現金だけでなく、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済などのデジタル決済も可能です。しかし、クレジットカード決済には支払い上限が設けられていることや、決済手数料が発生する場合があるため、注意が必要です。
また、自治体によってはクレジットカードでの支払いを受け付けていない場合もあるので、利用できる支払い方法は事前に自治体のWebサイトなどで確認しておくとよいでしょう。加えて、納付方法によっては領収証が発行されないこともあるため、支払い記録の管理にも注意が必要です。
固定資産税を納付するタイミング
固定資産税の納税通知は毎年春、4月から6月にかけて届けられます。 しかし、自治体によって若干の違いがあるため、受け取った納税通知書で正確なタイミングを確認することが大切です。
納税者が選択すれば、通知到着後に一括で納付することも可能です。納税は原則として年4回、6月、9月、12月、そして翌年2月に分けて行われます。しかし、一括払いによる割引は提供されていないため、分割払いでも一括払いでも納税額に差はありません。自分にとって都合がよい方法を選択するとよいでしょう。
固定資産税の金額に納得できない場合の対応
固定資産税の評価額に不服がある場合は、納税者は市町村に再審査を求めることが可能です。再審査は、納税通知書を受け取ってから3か月以内に申し立てしなければなりません。
不服申し立ては固定資産評価審査委員会によって審理され、提出された価格が固定資産評価基準に即していないと判断されれば、評価額の修正が行われる可能性があります。ただし、土地に関しては税負担の調整措置をしているので、価格が修正されても税額が変わらないケースもあります。
また、審査結果に不服がある場合は、決定通知を受け取った日から に裁判所に訴訟を起こすことも可能です。いずれの場合も、再審査は自動的には始まらないということです。不服があるなら、積極的に申し立てする必要があります。
まとめ
一戸建ての固定資産税は、平均すると年間10万円から15万円ほどです。実際の税額は、物件の場所や特性、土地や建物の評価額によって左右されるため、個別の状況に合わせた計算が必要です。
また、新築住宅や小規模な住宅用地には税額の軽減措置が適用されることもあります。軽減措置を利用するためには、特定の条件を満たし、手続きを進める必要があるため、注意しましょう。
固定資産税評価額に異議がある場合には、再審査を申し立てることが可能です。審査の結果によっては、税額が修正されることもあります。
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