高性能住宅とは?建築費用の相場や建てる際の注意点を解説!
住宅購入は性能のよさにこだわるべきだといわれますが、性能がよいとどんなメリットがあるのか気になる方は多いでしょう。住宅購入は人生での大きな買い物のひとつのため、デメリットも気になるところです。
そこで今回は、高性能住宅のメリットとデメリット、建てる際のポイントを紹介します。施工業者の選び方も解説していますので、参考にしてください。
高性能住宅とは
高性能住宅とは、快適に暮らすための性能がそろった優れた家のことです。高性能住宅と似た住宅の種類に長期優良住宅がありますが、それらの定義や基準は異なります。
高性能住宅の定義
長期優良住宅には明確な基準がありますが、高性能住宅に定義や基準はありません。施工業者ごとに独自の基準を設けていますが、一般的には断熱性・気密性・耐久性・省エネ性・耐震性を兼ね備えた住宅を高性能住宅といいます。
高性能住宅が備えているもの
一般的な高性能住宅が備えている5つの性能について紹介します。
断熱性
断熱性とは、高いところから低いところに移動する熱を、夏は外から遮断し、冬は室内から逃げないようにする性能のことです。断熱性が高いほど室内を快適な温度に保てます。使用する断熱材によって断熱性能は変化するものです。
断熱性能はUA値とQ値で表されます。UA値とは外皮平均熱貫流率のことです。外皮とは、屋根・外壁・窓・床など、熱が外へ逃げる道となる箇所を指します。外皮をつたってどれだけ熱が逃げやすいかはUA値で確認でき、UA値が小さいほど熱が逃げにくくなります。
Q値とは、熱損失係数のことです。熱が外へどれだけ逃げやすいかを表しています。Q値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性が高いと言えます。
UA値とQ値の違いは、換気による熱の損失を含むかです。UA値は外皮からの熱損失のみですが、Q値は換気による熱の損失も含みます。現在では、主にUA値が断熱性の指標に用いられます。
断熱性は、等級で確認するのが一般的です。断熱等級は7段階で評価されますが、 一定レベルの快適性を求めるなら等級4以上をおすすめします。等級4は1999年に制定された次世代省エネルギー基準を満たしているレベルです。
気密性
気密性とは、住宅のすき間を減らして外気の侵入を防ぐ密閉性のことです。住宅の接合部分を気密シートなどで防ぎ、すき間を埋める工事を行うことで気密性が高められます。断熱性と気密性はセットで扱われます。
気密性は、C値で表されます。C値とは相当隙間面積のことで、計算式は「住宅全体の隙間面積÷延床面積」で求められます。C値が低いほど気密性に優れていることになります。一般的に、 C値が1.0以下で高気密住宅とされています。
耐久性
住宅の耐久性とは、構造材・外壁・内装・基礎・設備などの主要な部分が、どれくらいの期間抵抗できるかを示した性能のことです。雨風や結露による腐食などに強い住宅が、耐久性が高いとされています。耐久性能の高さは、劣化対策等級を目安に確認できます。
劣化対策等級とは 、建物の劣化対策がどの程度行われているかを評価したものです。劣化対策等級は3段階で評価され、等級が高いほど長持ちする住宅ということです。長期優良住宅の認定を受けるためには、等級3の取得は必要となります。等級1であれば、建築基準法で定める対策はクリアしています。
省エネ性
省エネ性とは、電気やガスなどのエネルギー消費量を効率的に使用して、節約できる性能のことです。断熱性と気密性に優れている住宅であれば、必然的に省エネ性も高くなります。また、近年では、さらなる省エネ性を高めるために、太陽光発電システムを取り入れる住宅も増えています。
耐震性
耐震性とは、住宅が地震によって損壊しない性能のことです。どれくらいの地震に耐えられるかは、等級によって異なります。耐震性は3段階で評価されています。
- 等級1
震度6強から震度7に相当する地震に対しても倒壊や崩壊しない耐震性能 - 等級2
等級1の25倍の耐震性能
公共施設に必須の強度
長期優良住宅では、耐震等級2以上が認定の条件です
- 等級3
等級1の5倍の耐震性能
消防署や警察署などに求められる強度
高性能住宅のメリット
高性能住宅には、安心して快適に過ごせる5つのメリットがあります。
一年中快適に過ごせる
断熱性と気密性の備わった高性能住宅なら、一年中快適に過ごせます。室内の温度が外気温に左右されにくく、快適な温度を保てるのが高性能住宅の特徴です。そのため、冬場に起こりがちなヒートショックのリスクが軽減できます。
また、気密性の高い住宅は防音効果も期待できます。大通りに面した住宅や線路近くの住宅であっても、音が気になりにくいことがメリットです。
地震などの災害に強い
高性能住宅には、高い耐震性が備わっていることが多いため、大地震などの災害にも耐えられます。震度7の揺れが続けて2回起こった熊本地震では、1度目は耐えたが2度目の地震で倒壊した住宅もあったなか、等級3の住宅は耐えていたとの調査報告もあります。大地震が起こっても損傷が少なく、大地震後も引き続き住み続けらる可能性が高いです。
光熱費が抑えられる
省エネ性・断熱性・気密性が備わっている高性能住宅なら、光熱費を抑えられます。外気の影響を受けずに冬は暖かく夏は涼しく過ごせるため、冷暖房設備の使用を抑えることが可能です。
室内の空気をきれいに保てる
快適性を求めた高性能住宅は、換気性も優れています。換気システムのフィルタリング機能によって、空気がしっかり循環されるため、常に空気が新鮮できれいな状態です。また、フィルタリング機能は、外気中の汚れや有害物質をカットした空気を住宅内に吸い込み、
住宅内で発生したダニ・ホコリ・臭いを外へしっかり排出できます。
税の優遇措置や補助金が受けられることがある
備わっている性能が、長期優良住宅やZEH住宅の基準を満たして認定を受けている場合は、税の優遇措置や補助金を受けられることがあります。
長期優良住宅では、
- 住宅ローン控除額の拡大
- 登録免許税率引き下げ
- 不動産所得税控除額の拡大
- 固定資産税の減税期間延長
- 贈与税の非課税限度額の拡大
- 投資型減税の一部を所得税から控除
などの優遇が受けられます。
一方ZEH住宅では
- 子どもエコすまい支援事業
- 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
- 地域型住宅グリーン化事業
- 次世代HEMS実証事業
- 次世代ZEH+実証事業
- LCCM住宅
などの補助金制度があります。補助金制度は年度ごとに予算が決まっているため、予算に達し次第終了になる可能性があるため注意しましょう。
上記の全国共通のもの以外にも、岡山県でも、さまざまな優遇措置や補助金制度があります。
- 岡山市住宅用スマートエネルギー導入促進補助事業(岡山市)
- 住まい給付金(倉敷市)
- 定住促進奨励金交付制度(赤磐市)
「岡山県の不動産売買情報サイト『岡山で暮らす』」では、補助金や支援金の紹介もしています。岡山県で住宅購入を検討している方は、利用しましょう。
高性能住宅のデメリット
メリットの多い高性能住宅ですが、以下のようなデメリットもあります。
熱や湿気がこもりやすい
断熱性と気密性の高い高性能住宅は、熱や湿気がこもりやすいため、夏は室内が暑いところが難点です。
外の気温の変化に左右されない快適な空間を保てますが、中の空気や熱が排出されにくいため、夏場は対策が必要です。日差しを直接入れないようにする、定期的に窓を開けて熱を外へ出す、エアコンやサーキュレーターを利用するなど対策しましょう。
建築費が高額になりやすい
高性能住宅は、一般の住宅に比べて建築費が高額です。住宅の性能を高めるために、品質の高い断熱材や資材を使用しています。また、設計にもこだわる必要があるため、建築費が高くなることは避けられません。
しかし、高性能住宅は一般の住宅よりも光熱費が抑えられます。また、住宅が長持ちするためメンテナンス費用が抑えられるなど、長期的に見るとトータルコストを抑えられる可能性があります。
建築費を抑えるには、手頃な坪単価の施工業者やエリアを選びましょう。坪単価は施工業者によって異なり、一般的な場合は43万円〜75万円ほどです。しかし、大手の施工業者では73万円〜105万円 ほどになります。
大手の施工業者は高品質な資材を使用し、設計力も高いため、坪単価が高くなります。建築費用を抑えるためには、信頼できる一般の施工業者を選ぶことが重要です。
また、子育て世帯にとって暮らしやすい手頃な坪単価のエリアを探すなら、岡山県がおすすめです。とくに岡山市は瀬戸内海の温暖な気候とのどかな環境でありながら、買い物エリアも多く、中国地方の中でも暮らしやすい市として知られています。
全国の平均坪単価は68.4万円ほどです。一方、岡山市の坪単価は38万円ほどと利便性のいいエリアなのに建築費を抑えられる、コスパのいいエリアになります。
高性能住宅を建てる際のポイント
高性能住宅を建てるなら、以下の5つのポイントを押さえましょう。性能以外にも気をつけるポイントがあります。
確かな技術を持った施工会社に依頼する
高性能住宅の建築には、断熱性・気密性・耐震性に特化した技術が必要です。適切な施工会社を選ぶことが重要です。高性能住宅の建築を任せられる施工会社の特徴は、以下の3つです。
- 資格や認定を取得している
資格や認定を取得しているかは判断ポイントのひとつです。代表的な資格や認定には、一級建築士・木造耐震診断士・住宅性能評価員などがあります。 - 経験が豊富
細かい設計や丁寧な施工が求められる高性能住宅の建築は、経験豊富な施工会社を選ぶといいでしょう。相談の際に、気密測定を行っているのか、高性能住宅の建築実績や得意とする技術などを確認するといいでしょう。 - コミュニケーションがスムーズ
高性能住宅は、要望の細かい打ち合わせが一般の住宅よりも多い傾向にあるため、コミュニケーションのスムーズさは重要です。コミュニケーションがスムーズに取れないと、スケジュール通りに完成しません。
これらのポイントを踏まえて、打ち合わせに参加しましょう。
換気システムは第1種換気方式を選ぶ
高性能住宅では、換気システムの選択が重要です。高性能住宅は気密性が高いため、十分な換気が行われないと結露やカビの発生が懸念されます。そのため、高性能住宅には24時間換気システムが適しています。
24時間換気システムには第1種換気・第2種換気・第3種換気の3種類ありますが、第1種換気システムを選びましょう。第1種換気は、給気・排気ともに機械換気の方式です。1時間当たりに換気できる風量が決まっているため、必要量を計画的に換気できます。
24時間換気システムとは
24時間換気システムは、建物内を常に換気し、室内の空気を清潔に保つシステムです。2003年の建築基準法改正により、全ての建物での設置が義務付けられています。高い気密性は、化学物質やホコリ、ダニの影響を受けやすく、シックハウス症候群のリスクがありますが、24時間換気システムを導入することで、快適に過ごせる環境が確保されます。
土地の気候に合わせた設備を選ぶ
高性能住宅で快適な生活を求める方は、土地の気候に応じた設備を選びましょう。たとえば、寒冷地では断熱性を重視し、樹脂サッシが適しています。
温暖地では樹脂複合サッシでも問題なく、快適に過ごせます。また、間取りや窓の大きさ、性能の等級なども気候や周囲の環境に合わせて計画しましょう。
こだわりたい部分を明確にして予算にメリハリをつける
高性能住宅はすべてを高性能にすると、費用がかさみます。まずは無理のない返済計画を立てて予算を考え、どの性能にこだわるかを明確にしましょう。
気密測定を実施する
希望通りの気密性を確保するためには、信頼できる施工業者でも気密測定を実施しましょう。気密測定とは、住宅にどれくらいすき間があるかを測ることです。気密測定を行っているのか、どんな測定数値がでているのかは、施工業者選びのポイントです。
信頼できる施工業者を選ぶ6つのポイント
信頼できる施工会社を選ぶ際は、6つのポイントを押さえておきましょう。
得意とするテイストをチェックする
自分の好みに合った住宅を建てるためには、施工業者の得意なテイストを確認しましょう。施工業者の得意なテイストは、施工事例やカタログを見ることで把握できます。また、モデルハウスを訪れることで、より具体的に確認できます。モデルハウスは技術力や施工業者の特徴もわかるため、訪問してみましょう。
対応している工法をチェックする
施工業者によっては、採用している構造や工法が異なります。取り入れたい工法があれば施工業者が対応しているかを事前に確認しましょう。構造と工法によって特徴が異なります。
- 木造
2×4工法:角材とパネルで組み立てる工法。耐震性と気密性に優れている。
木造軸組工法:木材を使い柱・梁を組み上げた工法。間取りに自由が利きやすい。 - 鉄骨造
工場生産のため、品質が安定している。
重量鉄骨造:厚さ6mm以上の鉄骨を組み立てる工法。設計の自由度が高い。
軽量鉄骨造:厚さ6mm未満の鉄骨を組み立てる工法。
- 鉄筋コンクリート造
鉄骨とコンクリートを使って建物を支える構造です。鉄骨を組んで、枠の中にコンクリートを流す工法。耐震性・耐久性・耐火性・防音性に優れている。
構造や工法によって、メリット・デメリットがあります。どの性能を備えたいかや、どれくらいの予算を出せるのかで総合的に採用する工法を決めましょう。
価格帯やプランをチェックする
施工業者によって価格帯は異なります。同じ性能やサイズの住宅でも、施工業者によってトータル費用が変わることがあります。これは構造や設計の自由度、広告費などの違いによるものです。
大手の施工業者は広告費を多くかけており、高品質で自由度が高いため、費用も高くなりがちです。一方、地域密着の施工業者は広告費を抑えています。
建売や木造構造を採用することで低コスト仕様が規格化されている場合もあります。予算に合わせて施工業者を選ぶ方法もありますが、最終費用が予算オーバーしないように、進行中にオプションや間取りの変更などを確認しながら進めましょう。
アフターサービスの内容をチェックする
住宅購入は、要望通りの家づくりができるかにポイントを重視しがちですが、完成後の点検や修繕サポートにも注目しなければいけません。アフターサービスが充実していない場合は、トラブル時の対応に高額な費用がかかる場合があります。
まずは、保証期間や保証内容を施工業者にしっかり確認しましょう。新築住宅は、法律により10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。そのため、最低10年間保証されている施工業者なら安心です。
また、延長保証や独自でプラスの点検項目を設けているなどのサポートがあると、長期間快適に過ごせます。
現場の様子をチェックする
現場見学会を開催している施工業者は、足を運んで現場の様子をチェックしましょう。力を入れて建築している部分を確認でき、得意とする技術も見えてきます。ホームページやパンフレットとのイメージの相違がないかも、現場見学会で確認できます。
担当者の人柄をチェックする
担当者との相性も重要です。担当者が資格や知識を持っているかや、質問に丁寧に答えてくれるか、要望をくみ取って提案してくれるかなどをチェックしましょう。
施工業者によっては、打ち合わせの担当者がそのまま完成後のアフターサービスの窓口になってくれます。長い付き合いになるため、しっかり確認しましょう。
こちらの記事では、ハウスメーカーと工務店の違いについて解説しています。それぞれのメリット・デメリットや業者選びのポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
高性能住宅は、快適な生活を実現するために設計された住宅です。特徴は、断熱性・気密性・耐久性・省エネ性・耐震性に優れています。このような性能により、一年を通じて快適な環境を維持し、災害にも強く、光熱費を抑えられます。
しかし、熱や湿気がこもりやすいという欠点や、建築費が高額になりがちなデメリットもあります。適切な性能と予算のバランスを考慮し、要望を叶えてくれる施工業者を選びましょう。
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