GX志向型住宅とはどのような家?基準や建てる際の注意点も解説

GX志向型住宅とは、高い省エネ・断熱性を持つ脱炭素志向型の住宅です。光熱費を抑えられ、断熱性が高いため、夏は涼しく、冬は暖かい快適な住環境を提供します。さらに、最大160万円の補助金や、子育て世帯向けにローン控除の借入限度額が増えるなど、さまざまなメリットがあります。
とはいえ、GX志向型住宅と聞いても、実際にどのような家なのかピンと来ない方も多いかもしれません。長期優良住宅やZEH水準住宅など、似たような言葉もあり、違いがわかりにくいこともあります。
この記事では、GX志向型住宅の特徴や長期優良住宅・ZEH住宅との違いを解説しています。使える補助金や税制優遇、そして押さえておきたいポイントも紹介しているため、興味のある方は、ぜひご一読ください。
目次
GX志向型住宅とは?
GX志向型住宅とは、ZEH(ゼッチ)水準住宅や長期優良住宅よりも、さらに高い省エネ性能と断熱性能を備えた住宅のことです。GX(グリーントランスフォーメーション)とは、地球に優しいエネルギーを活用しながら、環境への負担を減らし、未来の社会や経済をよりよくしていこうという考え方です。
GX志向型住宅では、太陽光発電などの自然エネルギーを活用し、CO2の排出を減らしながら、エネルギーを無駄なく使えるように工夫されています。また、高い断熱性能によって、夏は涼しく冬は暖かい快適な暮らしを実現し、光熱費の節約にもつながります。環境にも家計にも優しい、未来を見据えた住まいがGX志向型住宅です。
GX志向型住宅の基準
GX志向型住宅と認められるには、高い断熱性能とエネルギー消費量の削減が必要です。まず、住宅の断熱等性能等級は「等級6以上」であることが条件です。
断熱等性能等級は1〜7等級に分かれており、2025年4月からは「等級4」が義務化され、これが住宅のスタンダードになりました。しかし、GX志向型住宅では、それ以上の等級6以上という高い断熱性能等級が求められます。
また、家庭で使うエネルギーを大幅に減らすことも条件となっています。一般的な地域では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを使わずに、一次エネルギー消費量を35%以上削減しなければなりません。
太陽光発電などを活用する場合は、家庭で使うエネルギーをすべてまかなえるように「100%以上の削減」が求められます。つまり、使う電気をすべて自給自足できるのが理想です。
ただし、寒冷地や日射量が少ない地域、多雪地域では条件が緩和されます。寒冷地・低日射地域では、再生可能エネルギーを使う場合、戸建住宅の削減率は75%以上です。行政が指定する多雪地域や都市部狭小地等で敷地面積が85㎡未満の住宅では、とくに削減率の決まりはありません。
さらに、GX志向型住宅には、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入が求められます。HEMSとは、家の電気の使用状況をモニターやスマートフォンで確認できるシステムのことです。
どの家電がどれくらい電力を使っているかを把握できるため、無駄な電気を減らし、効率よくエネルギーを使えるようになります。国も、このHEMSを活用したエネルギー管理の普及を進めています。
ZEH水準と長期優良住宅との違い
補助金が受け取れる「子育てグリーン住宅支援事業」では、GX志向型住宅のほかに、ZEH水準や長期優良住宅も対象になります。
ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略です。家庭で使うエネルギーと発電するエネルギーをほぼ同じにして、年間のエネルギー消費をゼロに近づける住宅のことです。ZEH水準には以下の条件が求められます。
- 断熱等性能等級:等級5以上
- 一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギーを除く):20%以上
長期優良住宅は、長く快適に住み続けられるように設計された家のことです。構造が丈夫で、耐震性の高さやメンテナンスのしやすさが特徴です。長期優良住宅には以下の条件が求められます。
- 断熱等性能等級:等級5以上
- 一次エネルギー消費量等級:等級6以上
GX志向型住宅は、ZEHや長期優良住宅よりもさらに高い省エネ・断熱性能を持つ家です。CO2削減や再生可能エネルギーの活用を強化しており、環境に優しいだけでなく、光熱費の節約にもつながります。
ZEH水準と似ていますが、省エネ性能の基準がGX志向型住宅のほうがより厳しくなっています。一方、長期優良住宅は、耐震性やメンテナンスのしやすさを重視している点が大きな違いです。
また、子育てグリーン住宅支援事業では、ZEH水準住宅や長期優良住宅を建てる場合、18歳未満の子どもがいる家庭、または夫婦のどちらかが39歳以下の家庭が対象になります。しかし、GX志向型住宅はすべての世帯が対象になるため、どの家庭でも補助金を活用しやすい制度となっています。
子育てグリーン住宅支援事業の対象となる
GX志向型住宅は、子育てグリーン住宅支援事業の対象になります。この制度は、エネルギーコストの影響を受けやすい子育て世帯などが、省エネ性能の高い住宅を建てるのをサポートするためのものです。一般的な省エネ住宅よりも、さらにエネルギーを節約できる住宅の普及を後押しし、家計にも環境にも優しい住まいづくりを支援します。
GX志向型住宅のメリット
GX志向型住宅は、光熱費を抑えられるだけでなく、補助金や税制優遇の対象になります。環境や家計に優しいGX志向型住宅のメリットを紹介します。
最大160万円の補助金が受け取れる
GX志向型住宅を建てると、国の制度である「子育てグリーン住宅支援事業」の補助金を受け取れます。最大で160万円と、ほかの省エネ住宅よりも高額な補助が出るため、住宅購入の負担を軽減できるのがメリットです。
補助金額(1戸あたり)
- GX志向型住宅:160万円
- 長期優良住宅:80万円
- ZEH水準住宅:40万円
ただし、補助金は、家を建てる人が直接申請するのではなく、工事をする会社や住宅を販売する会社が申請を代行します。利用したい場合は、事前に相談しておくとスムーズです。
光熱費の節約につながる
GX志向型住宅は、光熱費を節約できる家です。高い断熱性があるため、冬は暖かさをキープし、夏は外の暑さを防ぐことが可能です。エアコンの使用時間が減るため、電気代の節約につながります。
また、家のなかの温度差が少ないため、結露やカビが発生しにくいのも魅力です。喘息やアレルギーのリスクを抑えられるため、快適で健康的な住環境を維持しやすくなります。
さらに、太陽光発電システムと蓄電池を取り入れることで、万が一の停電時にも最低限の電力を確保できます。災害時でも安心です。
税制優遇が受けられる可能性もある
GX志向型住宅を建てると、税制の優遇を受けられる可能性があります。たとえば、住宅金融支援機構の「フラット35S」は、省エネや耐震性の基準を満たした住宅なら、最初の5年間のローン金利が低くなる制度です。利用するには一定の条件をクリアする必要がありますが、基準を高く満たすほど金利がさらに安くなります。
また、住宅ローン減税を活用すれば、借りたローンの一部を税金から差し引くことも可能です。年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除されます。
さらに、2025年は子育て世帯や若い夫婦向けの優遇措置があり、住宅ローン控除の借入限度額が拡大されます。長期優良住宅なら最大5,000万円、ZEH水準の省エネ住宅なら最大4,500万円までです。これにより、高額な住宅購入にも手が届きやすくなります。
GX志向型住宅のデメリット
GX志向型住宅は、省エネや環境に優しい特徴がある一方で、初期費用が高くなることや、太陽光発電の発電量が予想よりも少なくなる場合があるというデメリットもあります。購入後に後悔しないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
初期費用が高額である
GX志向型住宅は、最初にかかる費用が高くなることを理解しておく必要があります。高額になる理由は、高性能な断熱材や省エネ設備の導入が必要となるためです。とくに太陽光発電や蓄電システムを導入するための設備費が高くなります。
GX志向型住宅には補助金制度もありますが、補助金を使っても予想以上に費用がかかる場合もあります。用意できない分は住宅ローンを組むことになりますが、毎月の返済が負担にならないか慎重に判断することが大切です。
初期費用は高いものの、GX志向型住宅は断熱性能が高く、夏は涼しく、冬は暖かい快適な暮らしができます。また、光熱費を抑えられるため、長い目で見ると経済的なメリットも期待できます。今だけでなく、将来の生活を見据えて、資金計画を入念に立てることが大切です。
想定よりも太陽光発電量が少なくなる可能性がある
GX志向型住宅を建てた後、思ったより太陽光発電の量が少なくなる可能性があります。太陽光発電は、天気や季節によって発電量が変わり、晴れた日は十分に発電できても、曇りや雨の日、冬は発電量が減るためです。
また、太陽光パネルの設置角度や向きが合っていないと、十分に日光を受けられず、発電効率が下がります。近くに高い建物や木があると影ができ、日光が減ってしまう場合もあります。
太陽光発電の発電量は電気代に影響する重要なポイントです。設置する際は、方角や周りの環境を確認し、効率よく発電できるように計画することが大切です。
GX志向型住宅を建てる際の注意点
住宅購入は高額な買い物となるため、失敗しないためには、あらかじめ入念な準備と計画が必要です。以下のポイントを参考に、計画的に進めていきましょう。
利用する補助金制度を調べておく
補助金を申請する前に、必ず条件を確認しておきましょう。補助金を受けるためには、定められた条件を満たす必要があるためです。
たとえば、家の広さが50㎡(約15坪)以上、240㎡(約72坪)以下であることが求められます。また、土砂災害や洪水のリスクが高い場所、家を建てることが制限されているエリアでは、補助金を受けとれません。つまり、補助金の条件は住宅の性能だけでなく、建物の面積や場所にも関係しています。
さらに、申請には期限があり、申請者が多いと早めに締め切られることがあることも注意しておきましょう。国の補助金はほかの補助金と重ねて使えませんが、地方自治体の補助金は重ねて使えることもあります。自治体独自の補助金も利用できる場合があるため、事前に調べておくとよいでしょう。
GX志向型住宅を建てた実績があるハウスメーカーを選ぶ
GX志向型住宅を建てるなら、実績のあるハウスメーカーを選ぶことが大切です。GX志向型住宅は、太陽光発電の設置や高い断熱性能など、通常の住宅よりも高度な技術が必要です。高い断熱性能を持つ家を建てるためには、適切な設計や断熱材の選び方、丁寧な施工、計画的な換気システムが不可欠です。
GX志向型住宅を多く手掛けてきたハウスメーカーなら、必要な基準を満たし、高品質な住宅を建てられます。また、GX志向型住宅には補助金制度があり、申請手続きは施工業者が行います。補助金の仕組みを理解している業者なら、申請ミスやスケジュールの遅れを防ぎ、スムーズに手続きを進められるでしょう。
計画的に進める
GX志向型住宅を建てる際は、計画的に進めることが大切です。たとえば、断熱性能や省エネ性能をより高めた設計や機器の導入ができれば、エアコンに頼りすぎなくても夏は涼しく、冬は暖かい家をつくれます。
家族が快適に過ごせるだけでなく、光熱費の節約にもつながります。ただし、これらの設計や機器は費用がかかるため、住んでからの快適さと費用のバランスを考えながら計画を立てることが大切です。
また、予算オーバーを防ぐためにも活用したいのが補助金制度です。GX志向型住宅なら最大160万円の補助金を受けられますが、申請にはタイミングや条件があります。補助金を確実に受けとるためにも、業者と事前に相談し、登録や申請の準備を進めましょう。
こちらの記事では、高気密高断熱の住宅について解説しています。
メリット・デメリットや注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
GX志向型住宅は、環境にも家計にもやさしい住宅です。エネルギー効率の高い設備を導入することで、毎月の光熱費を抑えられ、さらに最大160万円の補助金や税制優遇を受けられます。
また、高い断熱性能により、外の気温に左右されにくく、夏は涼しく、冬は暖かい暮らしを実現できます。GX志向型住宅により、家族全員が健康で快適に過ごせる家を手に入れられるでしょう。
一方で、初期費用が高くなる点や、太陽光発電の発電量が思った通りでない場合もあるため、事前に入念に計画を立てることが重要です。補助金を受けとるためには特定の条件があるため、その点も確認しておきましょう。
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