建売住宅と注文住宅の違いってなに?メリット・デメリットも紹介
新築住宅を検討するうえで「建売住宅と注文住宅はどう違うのか」「自分にはどちらが合っているのか」という疑問を持ったことはありませんか?建売住宅と注文住宅は、予算や購入する流れに明確な違いがあります。そのため、違いを理解しないと家づくりで失敗するかもしれません。
本記事では、建売住宅と注文住宅の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて説明します。自分に合った住まいを見つけたいという人は、ぜひ参考にしてください。
住宅と注文住宅の違い
建売住宅と注文住宅の違いには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な3点を紹介します。
費用
建売住宅と注文住宅の違いの一つ目は、購入する費用に差があることです。購入に必要なコストは建売住宅のほうが安くつきます。その理由は、すでにプランニングされた住宅を土地と一緒に購入するため、打ち合わせや設計にかかる人件費が少ないことが挙げられます。
住宅金融支援機構による2022年度フラット35利用者調査 では、土地付き注文住宅の所要資金額は4,694万円、建売住宅は3,719万円という結果でした。つまり、土地を含めた価格は建売住宅のほうが安価ということがわかります。
ただ、建売住宅は広い土地の区画分けを行い、一度に多くの建材を仕入れることでコストダウンを図ることができますが、1棟のみの販売の場合は注文住宅と価格が変わらないケースがあります。1棟のみ建築する場合は、建材や人件費の単価が上がりコストダウンが難しいのです。
しかし、総予算がわかりやすいのは建売住宅です。建売住宅の場合は土地と建物のセット価格が明示されているため資金計画が立てやすいですが、注文住宅の場合は細かい部分まで設計しないと総予算がわかりません。
このように、建売住宅のほうが購入費用は安くなりやすく、予算が明確なことが費用面での違いだといえるでしょう。
段取り
建売住宅と注文住宅では段取りにも違いがあります。建売住宅の場合、予算やエリアなどの希望条件が決まればすぐに物件探しを始められます。建売住宅の情報は、ポータルサイトやエリア特化型の情報サイト、不動産会社のホームページなどでわかりやすく掲載されているため、物件を決めるまでの段取りがシンプルです。
また、建売住宅は建物が完成している場合が多く、実際に実物を見て生活のイメージを掴めるので、家具などのインテリア選びもスムーズに進められます。一方、注文住宅は建売住宅と比べ段取りに手間がかかります。予算、エリアが決まれば、土地とハウスメーカー探しを始めます。
土地探しはポータルサイトなどのインターネットで情報を収集しつつ、ハウスメーカー選びは現地へ足を運び、自分に合った建築会社を選びます。週末しか住まい探しに時間が取れない人は、計画的にスケジュールを組む必要があります。
その後、土地が見つかれば建物プランを固めていき、ハウスメーカーと建築工事請負契約を締結し着工に進むという流れです。注文住宅は、土地が見つかれば自由度が高く理想の住まいを手に入れることが特徴ですが、建売住宅に比べて段取りに手間がかかることを念頭に入れておきましょう。
期間
建売住宅と注文住宅には、物件探しから実際に住みだすまでの期間にも差があります。
建売住宅では建物が完成していれば、物件を決めてから、早くて1ヶ月程度で引き渡しを受けられます。更地の状態でも4ヶ月程度で入居ができるため、スケジュールの組みやすさが特徴です。その理由は、建売住宅は販売開始の時点で建物プランが決まっており、そのプランに向けて建築が進むことになるからです。
その反面、注文住宅では建築する土地が決まってから、その土地に合わせた建物プランを組むため、土地購入から建築工事請負契約まで早くとも3ヶ月程度がかかります。そこから着工を始めて、建築に3〜6ヶ月近くの期間がかかるので、土地購入から合計で半年から1年以上の期間が必要となります。土地探しからトータルすると、1年以上かかることも少なくありません。
このように、建売住宅では物件を決めてから1〜4ヶ月、注文住宅では土地を決めて半年から1年以上かけて入居が可能になります。期間による違いもしっかりと把握しておきましょう。
建売住宅のメリット・デメリット
ここからは、建売住宅におけるメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット
建売住宅には、以下のようなメリットがあります。
実際に見て決められる
建売住宅は、建物が完成されている場合が多いため、実際に実物を見て決めることができます。実物を見ることで家族が生活するイメージを想像したり、家に合うインテリアが検討しやすくなります。
コストを抑えられる
建売住宅は、注文住宅に比べて予算を抑えられます。それは、売主である不動産会社があらかじめ建物のプランを計画し、それに向けて工事が進んでいくので、建築にかかるコストを抑えることができるためです。
また、分譲地の場合、数件の工事をまとめて行えることもコストを抑えられる理由といえます。
入居までが早く手間がかからない
建売住宅は、注文住宅ほどの手間をかけずに購入できます。建物が完成済みの場合、売買契約や住宅ローンの手続きだけで進められて、未完成でもあらかじめ設計や建築確認が済んでいるため、面倒な打ち合わせを重ねる必要がありません。
そのため、建売住宅の場合は、物件を決めてから1ヶ月程度で入居できるケースがあり、手間をかけずに新築住宅を購入したい人に向いています。
資金計画が組みやすい
建売住宅の場合、土地と建物がセット販売となっており物件価格が明確です。そのため、購入にかかる資金計画が組みやすく、安心して購入を進められます。
街並みが整っている
区画数が多い分譲地の場合、見た目がきれいで街並みが整っていることもメリットのひとつです。大きな土地を区画分けして分譲地にするため、道路や境界線がはっきりと明示され、統一感のある雰囲気に仕上がります。
デメリット
一方、建売住宅にはデメリットも存在します。
こだわった家づくりができない
建売住宅は、売主である不動産会社や住宅会社が間取りや設備、カラーリングなどを決めるため、変更できる範囲がほとんどありません。注文住宅の場合は、家族構成に合わせた間取りや設備、好きな外壁の色などを選ぶことができるため、選択ができない建売住宅は自由度が低くなってしまいます。
似たような家が立ち並んでしまう
分譲地の建売住宅の場合、分譲地の雰囲気を統一させるため、どうしても似たような家になってしまいます。個性がなく平均的な家に感じられるため、個性を出した家に住みたいという方には不向きだといえます。
平均的な家になる
建売住宅はそれぞれの家族に合った家にできない分、平均的な家族に当てはまる設計で建てられることがほとんどです。平均的な家が、人によっては満足できない場合があるのです。
しかし「多くの家族に当てはまる設計の家」は、シンプルで長く使えるという側面もあるため、一概にデメリットとはいえないでしょう。
注文住宅のメリット・デメリット
注文住宅には、建売住宅とは違うメリット・デメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
メリット
注文住宅のメリットは、以下のポイントがあげられます。
プランニングが自由
注文住宅の大きなメリットは、自由度の高いプランニングが可能だという点です。注文住宅には決められた間取りや設備がないため、自分が理想としているマイホームを建てられます。
たとえば、日当たりの良いリビングを希望する場合は、2階リビングを採用して日当たりを確保したり、リモートワークが多いワークスタイルであれば仕事部屋を作ったりと、生活スタイルや希望に合わせた家を建てることができます。
さらに、キッチンや浴室、外壁など設備の一つひとつにこだわりを詰め込むことも可能なため、手間がかかっても自分好みのマイホームを実現したい方に向いているでしょう。
建築会社を選べる
注文住宅で家を建てる場合は、自分の好みに合った建築会社を選べることもメリットのひとつです。具体的には、断熱性能が高いといわれるハウスメーカーや、予算を抑えるために建築費が比較的安いハウスメーカーなど、自分の計画によって建築会社を選ぶことができます。
また、営業担当の人柄が良かったという理由でハウスメーカー・工務店を決めることもあります。このように、さまざまな視点から建築会社を比較検討することが重要です。
建築中の様子を知れる
注文住宅は更地から建築することになるので、実際に建築している様子を見ることで安心感を得られます。一生に一度かもしれない注文住宅の住宅購入なので、建築中の様子を見ることでさらに愛着が湧くかもしれません。
デメリット
注文住宅のデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
時間と手間がかかる
注文住宅を建てる際は、土地探しや建築会社選び、設計やプランニングの打ち合わせなど、多くの手順を踏む必要があります。そのため、注文住宅は建売住宅に比べて、時間と手間がかかることが大きなデメリットです。
こだわりが強い方ほど完成までに時間がかかる傾向にあり、土地探しから始める場合は、年単位で時間がかかることもあります。
こだわりすぎるとコストが割高になる
注文住宅は決められた予算がないため、こだわりすぎてしまうと徐々に価格が上がります。グレードの高い浴室やキッチンを導入したり、必要以上に広い建築面積を求めると、当初の予算から大幅にオーバーしてしまう可能性があります。
さらに、注文住宅は大量発注ではなく、その家に合わせた設備や建材を発注するため、単価が上がりやすいという特徴があります。よって、お金をかける部分とかけない部分のメリハリをつけることを意識するようにしましょう。
建売住宅と注文住宅の選び方
建売住宅と注文住宅には、それぞれ選び方があります。自分に合った住宅を購入するためのポイントを解説します。
優先順位を決める
優先順位を決めることは、住宅選びで重要なポイントです。優先順位をあやふやにしてしまうと、マイホーム選びに失敗してしまう可能性が高くなります。
重要な優先順位には、予算や立地、性能や入居時期などがあります。これらを家族会議で話し合うことで、絶対に外せない条件や譲歩できる条件が見えてくるため、それをもとに家づくりを始めることをおすすめします。
たとえば、岡山県の場合は「気候がよい」「自然が多い」「食べ物が美味しい」「治安がよい」などの好条件が挙げられます。これらの条件を重視する場合、岡山県で家づくりをするという選択肢が出てくるかもしれません。
このように、優先順位を決めることで建売住宅と注文住宅の単純な二択ではなく、柔軟な家づくりが可能になります。
予算を決める
予算を決めて、しっかりとした資金計画を組むことも大切なポイントです。まず、自分が支出できる自己資金額と返済できる住宅ローン額を書き出し、無理のない返済計画を立てなければいけません。
なお、自己資金額には、親からの援助も含まれます。援助を受ける場合は、贈与税に注意して「贈与税非課税措置」をうまく活用しましょう。このように、無理のない資金計画から家づくりの予算を決めることで、建売住宅を購入が良いのか注文住宅で家づくりをするのかを適切に選ぶことができるのではないでしょうか。
将来を考えて業者を決める
建売住宅か注文住宅かを選ぶうえで、目先のことだけでなく、住宅の将来を考えた建築会社や不動産会社を選ぶことが重要です。例えば将来、電気自動車が主流になることを見据えて屋外の電源を設置したり、住宅の規格が厳しくなる中で、将来の性能に合わせた建築を提案してくれる建築会社を選びましょう。
単純に「価格が安いから」「性能が良いから」という理由だけで建築会社を選ぶのではなく、将来的な居住環境をしっかりと考えた業者を選ぶことが重要です。
住宅に関する知識を身に付ける
建築会社や不動産会社のアドバイス通りにするのも良いですが、住宅に関する知識をしっかりと身につけたうえで家づくりをすることも重要なポイントです。
たとえば、建売住宅と注文住宅の質について、価格が高い注文住宅のほうが必ずしも品質が良いということはありません。建売住宅と注文住宅のどちらも建築基準法により「建築確認」「中間検査」「完了検査」に合格することが義務付けられています。そのため、実際には建物の質自体に大きな差はないことがわかります。
また、地域別や国から受けられる補助を知ることも大切です。たとえば、岡山県では「おかやまの木で家づくり支援事業」が行われています。
岡山県では、県産材利用促進指針に基づき、環境への負荷が少なく再生可能な循環型資源である県産材を積極的に使ってもらうことを目的に、県産森林認証材を使用して住宅・民間非住宅建築物の新築、または豪雨等により被災した住宅の改修をする施工業者を対象に、助成金を交付する事業を実施しています。(参考:岡山県「令和5年度おかやまの木で家づくり支援事業について」 )
条件を満たしてこの制度を利用すれば、新築住宅を取得した際に最大24万円の補助が受けられます。このように、住宅に関する知識を身につけることで、自分に合った新築住宅を選び購入することができるでしょう。
建売住宅と注文住宅はどちらがおすすめ?
建売住宅と注文住宅には、それぞれ向いている人と向いていない人がいます。どんな人が向いているのかを具体的に解説します。
建売住宅はこんな人におすすめ
建売住宅には、以下のような人が向いているといえます。
手間や時間をかけたくない人
建売住宅は間取りや設備があらかじめ決まっているため、一から打ち合わせをする必要がありません。また、建築会社を選定する必要もなく、実物が気に入ればすぐに購入の手続きを進めることができます。よって、建売は購入に手間をかけたくない人に向いています。
さらに、完成済み物件であれば、最短1ヶ月程度で引き渡しを受けられるため、時間をかけずに新築住宅を購入したい人に向いているといえます。
間取りやプランが決まっている方が安心な人
建売住宅は多くの家族に合う間取りを採用しているため、自分で完成イメージを想像できない方や、立地・価格を優先の方、家づくりに強いこだわりがない人に向いています。また、建売住宅は物件によってコンセプトが決まっているので、自分のイメージに合った家が見つかるかもしれません。
注文住宅はこんな人におすすめ
次に、注文住宅に向いている人の特徴です。
家づくりに強いこだわりがある人
注文住宅には多くの手間や時間がかかる分、理想のマイホームを実現することが可能です。たとえば、長期優良住宅などの性能にこだわりたい人や、自分だけのデザインの家を建てたい人、または建売住宅にはない二世帯住宅を建てたい人に向いています。
注文住宅は費用や時間をかけて進めるものです。家づくりにこだわって、じっくりと新築住宅を建てたい人におすすめです。
依頼したい建築会社がある人
新築住宅を検討するにあたり、希望の建築会社がある人は注文住宅に向いています。
たとえば、アフターサービスや長期保証を重視する人や、断熱性能にこだわりたい人などは、希望にあった建築会社をあらかじめ選んでおくと良いでしょう。
建築会社にはそれぞれの特徴があり、自分に合った会社を見つけられます。
こちらの記事では、住宅の購入時にすべきこと7選を詳しく紹介しています。あわせて参考にしてください。
まとめ
建売住宅と注文住宅にはそれぞれメリット・デメリットがあり、何を優先するべきかを明確にしなければいけません。建売住宅と注文住宅の違いを理解することで、自分はどちらに向いているのかを見極めることができます。
コストや手間をかけずに住宅を購入したい人は建売住宅を、手間ひまをかけてじっくり家づくりに専念したい人は注文住宅を選ぶと良いでしょう。
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